家づくり概要
築27年の鉄筋コンクリート造のマンションは、1階部分に所狭しと植えられた木々と、バルコニーごとに設けられた植栽帯がマンションと一体化した、贅沢な共有部分が美しい物件でした。しかし内部は、決して広くない専有部分に詰め込まれた3部屋と、昼間も薄暗いダイニングキッチンなど、ご家族が望まれるオープンな暮らしには程遠い状態でした。
扉という概念を捨て、仕上がりはラフに、レイアウトはシビアに。
全体をスケルトンにし、「それらしい配置」ではなく計算されたポジションを求めました。新規で設置した天井の配管やダクトの計画から始まり、「チリ」という出っぱり引っ込みの細かな寸法、見せ方、ガラスと格子のバランス、色の振り分け、厳選した照明器具・・・、細部に至るまでご主人の拘りが貫かれた空間です。
マンションにありがちな、玄関から細く長く続く廊下から、それぞれの部屋へアクセスする間取りでした。リビングに隣接された和室も、家具の配置などから結果的には独立した個室になってしまいがちです。
このマンションの特徴でもある部屋の中央にあるレンガの壁の正体は、なんと、水回りに入りきれなかった洗濯機置き場でした。
丁寧に建てられた構造は美しく、管理状況もいい物件でしたが、27年前の建物ということもあり、専有部分の高さは決して十分ではありませんでした。